熱狂!GS図鑑:黒沢進
日本のロックやフォークについて調べたいときに、故・黒沢進さんの研究成果には本当に助けられます。その業績には、尊敬の念を禁じ得ません。
僕が、初めて出会った黒沢さんの本は、「熱狂!GS図鑑」です。黒沢さんにとっても、初めての商業出版でした。内容は、GSの「全ての」グループを紹介するもので、そのシングルとアルバムをジャケット写真、収録曲込みで網羅し、既に「完璧な」研究本となっています。この本が出た当時、GSは、いわゆるミッシングリンクで、日本のロックやフォークの歴史をさかのぼるとたどり着くにもかかわらず、正確な情報がありませんでした。懐メロやアイドル、独特の世界観などで語られることはあっても、このように研究の対象とされることがなかったのです。例えば、細野晴臣さんや松本隆さんが在籍した「エイプリルフール」の前身はGSの「フローラル」であることや、高橋幸宏さんが兄の在籍したGSの「フィンガーズ」の臨時ドラマーをやっていたことなどは知られていましたが、その「フローラル」や「フィンガーズ」のメンバーやレコードなど、ほとんど不明の状態でした。それが、この本の登場により一変しました。とにかく、グループ数の多さと多様さに圧倒されました。また、当時、「とんねるずのオールナイトニッポン」で、所属事務所AtoZの社長の秦野さんがエドワーズに在籍していた話が出たときに、この本で確かめており、業界にもその価値が浸透していたと思われます。「熱狂!GS図鑑」は、何度読み返したかわかりません。僕にとって、GSと言えば、黒沢進さんであり、「熱狂!GS図鑑」なのです。
この本に、黒沢さんの略歴が紹介されています。「1954年9月秋田生まれ。中央大学文学部社会学科卒。中学時代にGSブームが到来。完璧に夢中になった。GSと名のつくものは片端からすべてエア・チェックし、メモをとるというクライ中学時代を送る。70年、ブームの終焉とともに音楽への興味が薄れ(早川義夫・高田渡を除く)、音楽と遠ざかっていった。80年、ふとしたきっかけで再びGSに目覚め、以来GS研究に寝食を忘れて没頭。特にB級GSに関しては他の追随を許さない。82年『資料日本ポピュラー史研究(上巻)-ロカビリー~エレキ編』、83年『同(下巻)-GSとカレッジフォーク編』、85年『同(補巻)』を自費出版。“B級GS”なるものの仕掛け人。」また、「日本の'60年代ロックのすべて」では、「日本ロック史家」として、次のように記載されています。「1954年9月5日生まれ。日本のロック史の中でも古代史(ロカビリー)と中世史(GS)が専門で、近代史(はっぴいえんど登場以降)や現代史(パンク/ニューウェイヴ以降)はよく知らない。」 ただし、黒沢さんの「知らない」のレベルはかなり高いと思われます。
熱狂!GS図鑑
著者:黒沢進
徳間書店
1986年1月31日
まえがき
1 実力派GS
正統派音楽少年GS
- アウト・キャスト
- ビーバーズ
- 4・9・1
- タックスマン
- リンド&リンダース
ニュー・ロック参入GS
- ゴールデン・カップス
- ズーニーヴー
- サムライズ
- ハプニングス・フォー
- モップス
- フラワーズ
2 坊ちゃんGS
- ヴィレッジ・シンガーズ
- ランチャーズ
- フィンガーズ
- サベージ
- ワイルド・ワンズ
- サニー・ファイブ
3 GS源平の戦い
二大老舗GS スパイダースVSブルー・コメッツ
- スパイダース
- ブルー・コメッツ
二大人気GS タイガースVSテンプターズ
- タイガース
- テンプターズ
和製カーナビーサウンドの両雄 カーナビーツVSジャガーズ
- カーナビーツ
- ジャガーズ
二大エレキGS バニーズ(テリーズ/フェニックス)VSシャープ・ファイブ(シャープ・ホークス)
- バニーズ
- テリーズ
- フェニックス
- シャープ・ファイブ
- シャープ・ホークス
二大R&Bバンド ダイナマイツVSボルテイジ
- ダイナマイツ
- ボルテイジ
4 泡沫GS
キッチュなGS
- オックス
- ライオンズ
- ナポレオン
- ムスタング
- シルビーフォックス
クラウンGSの四天王
- レインジャーズ
- クーガーズ
- ジェノバ
- プレイボーイ
5 アイドル・ファッション志向GS
おしゃれなGS
- ピーコックス
- フローラル
- アダムス
第三世代のGS
- ヤンガーズ
- リリーズ
- ブルー・インパルス
末期アイドル志向GS
- ピーターズ
- PSヴィーナス
- オリーブ
- ブレイズ
6 悲しきシングル一枚GS
- ニュー・ジャガーズ
- ガリバーズ
- スケルトンズ
- フレッシュメン
- ターマイツ
- ブラック・ストーンズ
- シェリーズ
- ビップス
- ギャロッパーズ
- クローズ
- モージョ
- スピリッツ
- ラヴ
- スコーピオン
- マミーズ
- サン・フラワーズ
7 異色編成GS
異色編成GS
- ワンダース
- ホワイト・キックス
- ジェット・ブラザース
- ムーンドッグズ
- シルクロード
外人GS
- スーナーズ
- クラックナッツ
- ハーフ・ブリード
- リード
8 歌謡曲に近いGS
限りなく歌謡曲に近いGS
- パープル・シャドウズ
- ファンキー・プリンス
- ダウン・ビーツ
- デビィーズ
- レモン・ルーツ
- ベアーズ
- ハイローズ
ロカビリーの匂ひのするGS
- スウィング・ウエスト
- ヴァン・ドッグス
- ブルー・ファイヤー
- ブルー・ジーンズ
9 無志向or無節操GS
なんとなくGS
- アイドルス
- エドワーズ
- サマーズ
- ルビーズ
- バロネッツ
- ポニーズ
- キングス
無節操転向GS
- レオ・ビーツ
- リバティーズ
- リンガース
- ブルー・シャルム
- アップル
アングラブーム便乗GS
- ジャイアンツ
- ダーツ
- フィフィ・ザ・フリー
- イーグルス
- トーイズ
- スカイ・ホークス
レコードを出していないプロ級GS
10 GSの歴史とその周辺
- グループ・サウンズの短い歴史と豊穣な音楽
- <寺内タケシとブルー・ジーンズ>とエレキ時代
- 加山雄三そして<一人GS>
- 若者の唄!カレッジ・ポップス
- ニュー・ロック1969
- ジャックス1986
- GS情報
あの袋小路さがたまらない(近田春夫)
GS・OBインタビュー
- ジャリトラ屋覚悟でがんばった 湯原昌幸
- 「あの時みんな若かった」 かまやつひろし
- 手応えを感じたキャンプ廻り 司薫
- 母の口すさんだ唄が頭にあった 加藤ヒロシ
GS音楽講座
- Ⅰ 数々の音楽的実験に満ちていたGS 難波弘之
- Ⅱ レコード会社の体質を買えたGS 橋本淳
GS I LOVE YOU
- ファッション史を塗りかえたGS 川本恵子
- 初めての「少年歌謡」と団塊の世代 秋山道男
- GSもウラから見れば楽しめる 鈴木慶一
GSギターカタログ 解説:佐々木勝俊
60年代から80年代までの「今」をむすぶ 稲増龍夫
コラム

